はじめてコーティングの施工を考えている方へ

はじめまして。
カービューティープロ札幌ドーム前、店長の近江谷(おおみや)と申します。
当店のブログではこれまで、コーティング施工時の注意点などをお伝えしてきましたが、初めて施工をお考えの方から「内容が少し難しい」「専門用語がよく分からない」という声をいただいておりました。
そこで今回は、はじめての方向けに、わかりやすく順を追ってご説明させていただきます。
対象となるコーティングについて
ここでご説明するのは、一般的に「簡易系コーティング」とされる「乳化型ポリマー」や、施工性の高い「キーパー系ガラスコーティング」ではありません。
当店が扱うのは、温度管理や湿度管理が重要で、しっかりと硬化する
- ガラスコーティング
- セラミックコーティング
といった、本格的なボディ保護を目的とした高性能コーティングです。
「撥水=コーティング」ではありません
「コーティング=水を弾くこと(撥水)」と思われている方も多いのですが、実際には
- 撥水タイプ
- 親水タイプ
- 滑水タイプ
などがあり、それぞれに特性とメリットがあります。
今回の説明では、なるべく専門用語を使わず、シンプルに、わかりやすくを心がけてお話ししますので、どうぞ安心して読み進めてください。
ページコンテンツ
なぜコーティングをするのか?—目的と効果について
コーティングを施工したいという方には、大きく分けて以下のような目的が多く見られます。
1. 塗装面を酸化劣化から守るため
数年前までは、ボディ保護といえば「WAX」が主流でした。しかし、有機性のWAXは数週間で流れ落ちてしまい、定期的な再施工が必要です。
さらに、WAXの油分は以下のようなデメリットもあります
- ウィンドウに油膜ができやすい
- ヘッドライトの黄ばみを促進
- 紫外線の多い環境では、プラスチック部分の劣化を早めてしまう
このため、WAXでの保護には限界があり、「車庫保管」が前提でなければ、塗装面を長期的に守ることは難しいのが現実です。
こうした背景から、近年は**より耐久性が高く、酸化劣化を防ぐための「コーティング」**が主流になりました。
- 最初は「ポリマーコーティング」
- 現在は「ガラスコーティング」
- そして最新では「セラミックコーティング」
どれも目的は同じで、塗装面の保護にあります。
2. 洗車を楽にしたい・美観を長く保ちたい
「撥水=コーティング」と考えている方も多いですが、実際はもっと奥が深いです。
特に「ピュアなガラスコーティング」は水を弾かず、**親水性(水が膜状に流れる)**の性質を持つものも多くあります。
水の流れ方こそが、コーティングの機能を分けるポイントです。
◎ 撥水タイプ(水を玉状にはじく)
【メリット】水をしっかり弾き、洗車時の拭き取りが簡単
【デメリット】水の流れが速すぎて、汚れが残りやすく、**ウォータースポット(雨染み)**の原因になりやすい
※洗車をこまめにできる方には最適ですが、忙しい方にはやや不向きです。
◎ 低撥水タイプ(水が筋状に流れる)
【メリット】水滴が汚れを一緒に流す「セルフクリーニング効果」があり、洗車頻度を抑えられる
【デメリット】水玉が転がらないため、「コーティングした感じ」が少ないと感じる方も
※当店で扱う「セラミックプロ9H」はこのタイプに該当します。
◎ 親水タイプ(水がベタっと膜状に流れる)
【メリット】汚れが残りにくく、雨ジミや白い膜状の汚れ(スケール)を防ぎやすい
【デメリット】水の流れが独特で、洗車時に扱いが難しく、やや上級者向け
3. 汚れを目立たなくするため
「汚れないコーティング」というものは存在しません。
しかし、親水性や低撥水性のコーティングを選ぶことで、汚れが「目立ちにくく」なることは可能です。
あくまで、洗車の手間を減らすための補助的な機能であり、洗車が不要になるわけではありません。
注意点
コーティングの性質によって、洗車のしやすさ・汚れの残りやすさ・見た目の印象が大きく異なります。
たとえば、洗車の頻度が少ない方に「撥水タイプ」をおすすめしてしまうと、結果として雨染みなどのトラブルを引き起こす可能性が高くなります。
施工する際には、メリットだけでなく、デメリットもきちんと説明してくれる施工店を選ぶことが大切です。
カービューティープロ札幌ドーム前のご提案
~撥水・親水の善し悪しではなく、「環境に合った選択」が大切です~
当店では「撥水だからダメ」「親水だから良い」といった一方的な判断はしておりません。
それぞれの水の流れ(コーティングの機能層)には特徴があり、お客様の使用環境や洗車頻度に応じてベストなタイプをご提案しております。
洗車頻度から見る、コーティングのおすすめ
お車の使用状況・保管環境・色味・洗車スタイルにより、最適なコーティングは異なります。
以下は目安としてのご提案です:
◆ 週に1回以上 洗車される方(こまめにお手入れされる方)
➡ 撥水タイプをおすすめします。
- 水をしっかり弾くので、洗車後の拭き上げがスムーズ
- 濃色車でも水ジミを抑えられます(ただし洗車頻度は必須)
おすすめのコーティング:
- セラミックプロ 9H(撥水仕上げ)
- SPGコート タイプShまたはH
- PCX-S8
◆ 月に1回程度 洗車する方
➡ **低撥水タイプ(疎水・滑水)**をおすすめします。
- セルフクリーニング効果に優れ、雨や汚れが流れやすい
- 水玉は少なめだが、全体の美観が長持ちします
おすすめのコーティング:
- セラミックプロ 9H(疎水仕上げ)
- SPGコート タイプStまたはT
- PCX-S9
- PCX-V110(※淡色車・洗車機を使われる方にも適しています)
◆ 月1回も洗えない方/長期間洗車できない場合
➡ 親水タイプをおすすめします。
- 水が幕状に流れることで、汚れが付きにくくなります
- 雨染みや白いスケール(膜状の汚れ)も抑えられやすい
おすすめのコーティング:
- SPGコート(親水タイプ)
- PCX-V300
ご注意ください
洗車頻度と保管環境(青空駐車か、車庫保管か)によっては、高性能なコーティングでもトラブルが起こる可能性があります。
そのため、施工前にはしっかりとヒアリングさせていただき、お客様に最適な製品を一緒に選ばせていただきます。
コーティングをどの状態のお車に施工されるか?
新車・経年車または使用過程車と状況により希望されるかと思いますが、コーティングの施工で大切な事は下地処理になります。
洗浄

ディテール洗浄とは、車の細部にわたる洗浄作業を指します。基本的には無料で対応しておりますが、状態があまり良くないお車や、仕上がりに強いこだわりをお持ちのお客様の場合には、有料となることがございます。
そのため、どのような仕上がりをご希望かを事前に明確にしていただけますと、よりスムーズに対応が可能です。ご要望がございましたら、遠慮なくお申し付けください。
鉄粉除去洗浄
ケミカル洗浄(磨きの工程を少なくするため汚れは液剤で落とす工程)
脱脂洗浄

下地処理洗浄では、中性・酸性・アルカリ性の各種洗剤、そして鉄粉除去剤を用いて、合計4回の洗浄工程を行います。これにより、ボディ表面の汚れや異物をしっかりと除去します。
その後、専用の下地処理剤を使用して、塗装面の状態を整え、次の工程(コーティング等)がしっかりと密着するよう仕上げていきます。
研磨作業について
研磨作業は、お車の状態やお客様のご希望によって目的や仕上がりが異なります。
たとえば、「軽く磨いて艶を出したい」という場合から、「深い傷をしっかりと消したい」といった強めの研磨まで、さまざまなレベルがあります。
そのため、どのような仕上がりをお求めかを事前にご相談いただければ、最適な研磨方法をご提案させていただきます。
新車の場合
現状を保護するのみでお考えの場合は研磨無しコース(新車直納コース)での施工が可能

新車直納コースは状態が良く、研磨を行わないメニューですが、部分的にNGな車も存在します。その場合は部分研磨を行い整える必要があります。
なぜ新車でも下地処理を強調しているのかは下記URLへ記載しております。
新しいお車の場合、多くのお客様は「保護」を目的とされることがほとんどです。そのため、研磨を行わない「LEVEL0」のコースをご選択いただくことが一般的です。
ただし、部分的に塗装面に異常が見られる場合には、その箇所だけを最小限に磨く「LEVEL0.5」というコースもご用意しております。
このコースは、「必要な部分だけを整える」という、本来の目的に沿った非常に合理的な内容となっております。
経年車の場合
Easy
状態が良いお車、コストを優先される場合の下地処理研磨です。
ライトポリッシュ
基本研磨コースです。
一般コーティング店の鏡面研磨以上がイメージが近いと思います。
ミドルポリッシュ
可能な限り洗車で出来るキズを除去、塗装面を平滑化させる事で新車以上の輝くを演出
一般コーティング店の復元鏡面研磨以上がイメージが近いと思います。
ハードポリッシュ
ミドルポリッシュでは対応が難しい場合
スペシャルポリッシュ
現時点で研磨で出来る最高の事を行うコースです。塗装にもよりますので現車確認が必要です。
コーティングの目的と考え方
コーティングの目的は、大切なお車の塗装面を酸化や劣化から守ることにあります。
そのためには、しっかりとした下地処理が必要不可欠です。下地処理とは、塗装面に付着した汚れや不純物を取り除き、コーティング剤がしっかり密着する状態に整える工程です。
この下地処理には、大きく分けて「洗浄のみで仕上げる場合」と「研磨を加えて塗装面を整える場合」の2通りがあり、それぞれの組み合わせによって最終的な代金が決まります。
ただし、こうした理論に基づいて施工をしていても、どこで施工しても同じ品質が得られるわけではありません。
本当に高いクオリティのコーティングを実現するためには、「理論」だけでなく、それを支える設備と、何よりもそれを正しく実行できる技術が必要です。
そちらを詳しく書いたものがコーティング施工で大事な事になります。
関連記事
コーティング屋さんと磨き屋さん、違いと見分け方
カービューティープロ札幌ドーム前はカーディティールプロショップです。