コーティングの水締め

一般的なガラスコーティングの場合は施工中に水分(湿度)が必要な製品があります。

カービューティープロブランドで言えばPCXシリーズが該当します。

水分(湿度)が必要なガラスコーティング

「空気中の湿度が温度と共に反応しゆっこりと硬化してガラス被膜ができる」と言うもの

しかしながらそれは初期硬化の話であり、完全に硬化するまでは2~3週間を要します。

この辺は「硬化型コーティングは良いのですが、どういった条件で硬化するのでしょうか?」をご覧いただければ、なんとなく記述しております。


温度は当然常温を想定しますし、その温度と湿度が最も高い関東圏の梅雨時期は非常に危険です。硬化速度も速くなりますし、湿度が高い事から白っぽく仕上がる事があるからです。

その様になってしまった場合は研磨を行い、一度変な反応をしてしまったコーティング皮膜を除去し再施工となりますのでエアコンを導入して温度と湿度の管理が必要です。

ここまでは関東の梅雨時期から秋までの気温が高い状態を指します。

逆に冬の場合は湿度が低く乾燥しているので、適正な湿度を無意識に作ることが出来ますが、施工時のパネル温度が足りない事と、乾燥やエージング中の温度も当然足りません。

なので暖房設備が必要でありますが、東北や北海道の場合で良く見られるジェットヒーターは、大量の灯油を一気に燃焼させることにより大量の湿度を燃焼させるため、梅雨時期のような湿度が高い状態(結露の発生)に、更にパネル温度が低すぎると言ったコーティングには不適切な状態となってしまいます。

以上の事から水分を必要とするコーティングの場合は次のような環境が必要

コーティングの環境について

〇常温での施工(16度以上26度未満)

〇水ではなく適正な湿度が必要(高すぎても低すぎてもNG 約40~50%)

〇外気温にもよりますが2~3週間は雨に当たらない工夫が必要

ここまでは湿度を必要とされるコーティングの場合であり水が必要な訳ではありません。

当店は自動車業者さんからの依頼はほんの数パーセント
それは、言う事を聞かないからです(笑)

考え方を理解してくれて、決して安価ではない価格でもお願いされる場合にだけ引き受けるからですが、その理由として

「安く早く」を求められるからです。

安く早く=上記の温度や湿度を無視、乾燥も無視すればコーティングは2~3時間で終了できますよ。
この場合は納期を短縮と利益の確保を求められるからであり、コーティングの良い状態とは離れすぎております。

前置きは長くなりましたが、最近お客様からの質問で、様々なコーティングでの比較を質問されるケースが多くなってきており、年々とレベルが高くなってきて驚きを隠せません。

今回はなぜか急に多くなってきた「水締め」についてです。

建設業の水締め

土に水を散水飽和させて見かけの粘着力をなくした後に水切りをすることで締め固める工法です。砂に対して有効とあります。

コーティングの水締め

強制的に水を加え、硬化を促進させる事とあります。

その場合の水締めは、当然ながら水分厳禁なコーティング資材には使用が不可です。
適度な湿度で硬化する製品には一見有効のように思われがちです。

このような考えはマニュアルを読めば読むほど、そのような発想になってしまうのは理解は出来ます。

「水は低きに流れる」が如く

良い方向で考えるなら良いのですが、利益を頂くお仕事の場合の良い方向は利益であることが多く、単なる時短メニューと考えても宜しいかと思います。

しかし、本来は水ではなく適度な湿度が必要なのでその考え方は疑問です。

また下記の様なスチーマーを使って水締めとして行った場合

温度計は何度を示しているでしょうか?


その場だけ50度前後ですね。

これをササっとあててもその場は温度が高くはなりますが、すぐにパネル温度に戻ってしまいます。

これが硬化の何の役に立つものでしょうか?


もしこれが水であれば温度は何度??
発想はなんとなくわかりますが、施工温度を常温にしてから施工された方が良いのではないでしょうか?

なので温水によるパネル温度の適正化
作業ブースをコーティング施工に適した常温

カーボンヒーターによる焼付処理なのです。

まとめて「冬期間及び低温施工を余儀なくされる北海道におけるコーティングの注意事項」

いろいろな言葉はありますが、しっかりした根拠を考えられないとならない例です。

気を付けましょう